Euphorbia braunsii

Euphorbia braunsii N.E.Br
原産国:ケープ州、ナミビア共和国

E. braunsii は、1911年にBrauns によってアベルディーン近郊で発見・採取され、同年9月にキュー植物園へ送られました。その学名は、彼の名にちなんで命名されたものです。

一方、1909年にナミビア南部で採取された標本を基に、N.E. Brown はE. rudis も記載しています。

長い間、E. rudis E. braunsii は別種とされてきましたが、その一因として、Flora Capensis で E. braunsii を記載する際の誤りが挙げられています。N.E.Brownは「地下の主茎が上部で密集した枝をもつ」と説明したようです(E.clavarioides の様なイメージでしょうか)。結果として誤った認識が広まり、混乱を招いてしまったようです。

White ら(1941)は両者の典型的形態では明確に区別することが出来るが、両者の間には境界線はなく、むしろ連続的な変異が見られると指摘しています。E.barunsii と比較し、E.rudis は茎や枝が細く、杯状花序が小さいこと、瘤状突起の先端が頂部でやや反り返る傾向があるといった違いが挙げられましたが、これらの特徴は変異の幅が大きく、中間型も多いため、現在では E. braunsii に統合されています。

E. rangeanaといった耳馴染みのない種もE. braunsiiのシノニムとなっています。これはKurt Dinterがナミビアのクレイン・カラス山地で採集したものに命名したものですが、記載不十分でE.rudisのシノニム(つまり、現在はE.braunsiiのシノニム)となっています。また、Dinterはこの植物をE.marientaliiとも呼んでいたようです。

Euphorbia braunsii by m_d,licensed under  CC-BY 4.0,via iNaturalist

自生地はケープ州からナミビアまでと広範囲に及びますが、自生地の大半は夏季降雨地帯です(一部は冬季降雨地帯であるステインコフ北東部のヤッカルスウォーター付近にも自生しているようです)。

一概には言えませんが、自生地が広範囲に及ぶ種は、環境への適応力が高く、栽培の要求水準も高くないことが多いように思います。このE.braunsii に関しても、入門者向けの種ではありませんが、栽培の難易度は高くありません。

ただし、昨今問題となっている密猟されたものについては、粗雑に抜かれ、扱われていることが明らかです。多くが生育不良に陥り、長期管理は困難なものになると思います。違法トレードについては別記事で投稿しようと思いますが、そういった怪しい株に手を出さないことは愛好家としての責任のように思います。

Euphorbia braunsii by
ricusnel licensed under  CC-BY 4.0,via iNaturalist

参考文献
 White, A., Dyer, R.A., & Sloane, B.L. (1941). The Succulent Euphorbieae (Southern Africa). pp.468-476.
 Peter V. Bruyns.(2022).Euphorbia in Souuthern Africa.pp.258-263.
 Royal Botanic Gardens, Kew. (n.d.). Euphorbia braunsii N.E.Br. Plants of the World Online. Retrieved January 18, 2025, from https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:345843-1

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