Euphorbia fusca Marloth
原産地:ナミビア、ケープ州
大型medusoid種のひとつであるEuphorbia fuscaです。
fuscaという学名は、特徴的な暗褐色の腺体に由来しています。
園芸上はある程度区別がつきますのでE. fuscaとして紹介しますが、現在は分類学上E. crassipesのシノニムとして扱われています。
E. fuscaのみならず、E. baliolaやE. hopetownensis、E.inornataなども現在はE. crassipesのシノニムとなっています。
Bruyns氏が形態差よりも、生態的な連続性を重視するランパー(統合派)であるためでしょうか。
それぞれに形態差があるため、園芸的には分けて管理しておいてもよいのではないかと思います。

dhoare licensed under CC BY-NC 4.0,via iNaturalist
E. fuscaのタイプ産地であるブリッツタウンで撮影された個体

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主茎は最大で20cmと大型で、中には30cmに達する個体群(Hopetown地区)もあるようです。主茎はほぼ球形で地表に露出する部分のほぼ全体から多数の枝を密に出しますが、頂部だけは例外で枝を出しません。
シノニムとされた種についての形態的差などは以下の表を参照ください。
| E. fusca | E. crassipes | E. baliola | E. hopetownensis | E. inornata | |
| 腺体の色や花 | 暗褐色の腺体で横長の長方形。 総苞は比較的に浅い。外縁に短い針状突起を多数持つ。 花梗が脱落する | 緑色の腺体。 E.fuscaと比較し、より深い総苞 | 褐色〜暗褐色 E.crassipesと比較し、雄花の花柄が長く、その毛もより長い。 | ピンク〜紫 5つの歯状突起 5-7mmの非常に短い花柄 | 腺体の上面がオリーブグリーン、下面が赤みを帯びる。 腺体の形、総苞に白い毛をもつ。E.fuscaと比較し腺体の針状突起の数が少ない。花柄の毛は明瞭な羊毛状。 |
| 茎・枝 | 頂部には枝がない。 ほぼ球形の主茎。 | 頂部には枝がない。 E.fuscaと比較し円柱状の茎、より太い枝。 | 頂部全体を覆うように枝を出す。 枝が細い。 | 比較的に太い枝を持つ。 ほぼ球形の主茎。 | E.crassipesに概ね一致。 E.fuscaの様に |
| 備考 | Marlothの原記載に腺体についての言及がなかった。 | E.crassipesの多くの個体群では花梗が脱落する個体、しない個体の両方がある。 | タイプ標本が採集された地域付近の個体はE.crassipesとほぼ同じ形態であった。 | 幅4.5cmの小さな株から記載された。小さな図と記載された特徴はE.crassipesの特徴と一致。 | E.fusca、E.hopetownensisとはその関連性が指摘されてきた。 |
現在は全てE. crassipesのシノニムとなっていると書き記しましたが、当然これに異議を唱える人も多くいます。
Marx氏はBruyns氏の論文に対しEuphorbia WORLDの記事内で「詳細な知識の欠如」と批判しています。
Marx氏はE. crassipesについてはE. deceptaと近く、E. deceptaをE. crassipesの変種として扱うべきとしています。
個人的にもそちらの方がしっくりくる気がしますが、どうでしょうか。
栽培について
栽培は間違いなく容易な部類のユーフォルビアです。
耐寒性は高く、私のハウスでは冬季最低気温5℃程度ですが、全く問題ありません。自生地の気候を鑑みれば、断水に近い管理をし、霜に当てなければ0℃程度までは問題なく耐えてくれるのではないかと思います。
本種は昼夜の寒暖差を特に好むようで、熱帯夜が続く場合は日が沈んだ時間にミストをかけて植物体の温度を下げてあげるなどの工夫をするとよいでしょう。


栽培困難種とされるのは、それが野生株だからでしょう。
野生株、それも本種の最大サイズに近い標本クラスのものが多く流通しています。
こうした野生株はたとえ発根させられたとしても、維持管理は困難で徐々に消耗し枯死すると言われています。倫理面からも栽培面からもリスクが高いものです。
CITESのトレード記録を確認すると、モザンビークから日本へE. fuscaの”人工繁殖個体”が大量に入ってきているようです。
これは本当に人工的に繁殖されたものでしょうか?
モザンビークで数百を超える標本サイズのE. fuscaを栽培しているとはどうしても思えませんが…
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