Euphorbia esculenta Marloth
原産地:ケープ州
大型のmedusoid種であるユーフォルビア・エスクレンタです。
閻魔キリンという和名はその堂々たる姿から連想されたものでしょう。
esculentaはラテン語で「食用」を意味するものです。焼いて食べたという話もありますが一般的ではなく、干ばつ時の家畜の飼料として利用できることが由来かもしれません。
1865年のウイテンハーゲ・タイムズには「11ヶ月も雨が降らず、家畜の損失は恐ろしいほどです…。現在私は牛にVingerpolや矮性ユーフォルビアを与えています。農家がこれを栽培し、乾期のために備えておかないことは非常に残念です」と書かれています。
このことからも、家畜の飼料として使用されていたことがうかがえます。
“Vingerpol”はアフリカーンス語で「指の房」を意味し、E.esculentaのことを指しています。


塊茎は5-20cm、株全体の幅は15-50(100)cmに達します。E.esculentaは塊茎が地表から最大30cmも突き出して生育することもあり、その大きな体格と低い茂みの中で生育する習性から、自生地でも目立つ存在となっているようです。
E.huttoniae、E.inermis、E.colliculina、E.fortuitaによく似た外観を持ちますが、これらの種は地表から突き出て生育することは基本的になくE.esculentaの特徴となっています。
また本種は白く綿毛をまとった様な花が特徴的です。開花さえすれば他種と混同してしまうようなことは少ないでしょう。
東ケープ州に広く分布しており、生息地では一般的にみられるようです。

栽培についてはmedusoid種としては容易な部類です。
自生地は特に乾燥した地域にあり、実際、乾燥にとても強い種です。
水やりはメリハリを大きくつけることをおすすめします。水が多過ぎると枝が徒長し、先細り見た目を大きく損ないます。
自生地では枝の長さが20cmを超えないとされていますので、徒長しているかどうか一つの目安になります。
耐寒性は高く、氷点下になったり、霜に当たらなければ越冬も問題ありません(当然ですが、冬前に根をしっかり張らせ健康な状態であることが前提です)。
あくまでも肌感覚としてですが、氷点下でもいけるような…。
花はよく咲く年もあれば、全く開花しない年もあります。灌水方法か、寒暖差か…何れにせよ開花には何か条件がありそうです。
花は芳香性で甘い香りがありますが、私の手持ちの株は書籍に記載されていたほど強い香りはありませんでした。




流通量も増えてきて入手がしやすくなってきました。
野生株が流通してしまうこともありますが、そうした苗は日本の環境に適応できずに枯死してしまうことが多いようです。
野生株の保護、栽培のし易さの観点からも実生株の購入をおすすめします。
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