Euphorbia tescorum S.Carter
原産地:エチオピア、ケニア、ウガンダ
エチオピア南部、ケニア北部、ウガンダ北東部の乾性低木林にみられます。
ケニア北西部のトゥルカナ湖周辺の溶岩礫地に生息しており、その生息環境から「荒地のユーフォルビア」を意味する種小名が与えられています。
エチオピア、ケニア、ウガンダ周辺にはEuphorbia heterochromaに類似する種が多くみられ、E. tescorumもそのE. heterochroma群(10種2亜種)のうちのひとつになります。

最も美しいタイプ。冬季の内張りで、これでも斑模様が薄れている。
春〜秋にかけては模様が鮮明になり、美しい。
E. heterochroma群に属する種は以下の通りです。
- Euphorbia heterochroma subsp. heterochroma
- Euphorbia heterochroma subsp. tsavoensis
- Euphorbia heterospina subsp. heterospina
- Euphorbia heterospina subsp. baringoensis
- Euphorbia tescorum
- Euphorbia vulcanorum
- Euphorbia stapfii
- Euphorbia petraea
- Euphorbia dalettiensis
- Euphorbia borenensis
- Euphorbia scarlatina
- Euphorbia atroflora
E. tescorumの特徴
E. heterochroma群の植物については類似点が多く、識別に迷うことも多々ありますが、以下の特徴で識別が可能です。
・直立性で高さ2.0mまでの低木
・茎は5-8稜で太さは最大4.0cm
・棘座は連続し、幅2-4mm
・最大1.5cmにもなる強靭な棘をもつ
・杯状花は黄色、蒴果(さくか)は赤色
・花は雄花が先行し、二次花は両性
※蒴果…果実の型のひとつ

強靭な棘が特徴的
E.tescorumは自生地により個体差も大きいようで、斑模様の鮮明なものから、模様のないものなど、いくつかのタイプがあります。
”ウガンダフォーム”と呼ばれるタイプは、斑模様が鮮明で、最も美しいとされるタイプです。
大家族を抱えるユーフォルビア属中でもトップクラスの美種のように思います。




栽培について
栽培は容易ですが、環境変化に対しては、やや敏感なところがあるため、購入直後や栽培環境が変わった際には注意し、養生してあげるとよいと思います。環境変化のストレスによって枯死することは滅多にありませんが、機嫌を損ねてしまい、成長が鈍ってしまうことが往々にしてあります。
長期間の乾燥にも耐える強靭な種ですが、根は細いため、冬場も天候を確認しながら少量の水やりをすると、春からの立ち上がりが良好です。
美しく育てるためには、十分な日照が必要です。日照が不足すると斑模様のあるタイプであっても、この模様が薄くなり、ぼんやりとした色調になってしまいます。
ただし、他のユーフォルビアと比較し、日焼けを起こしやすいため注意が必要です。日照に弱い種ではなく、環境変化に敏感であるが故に日焼けを起こしやすいと推察しています。購入直後や植え替え後などは、栽培の基本を徹底し、徐々に明るい環境に慣らしていくことが大切になります。
参考文献
Susan Carter, M. G. Gilbert.1987.Euphorbia heterochroma, E. stapfii and Related Taxa.Vol. 42, No. 2, pp. 385-394.
Susan Carter.1982.New Succulent Spiny Euphorbia from East Africa.pp.105-107.
Royal Botanic Gardens, Kew. (n.d.). Euphorbia tescorum S.Carter. Plants of the World Online. Retrieved March 19, 2025, from https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:899867-1
コメント