Euphorbia cap-saintemariensis Rauh
原産国:マダガスカル共和国
マダガスカル最南端にあるTanjona Vohimena でのみ知られている希少なユーフォルビアのひとつです。
1970年にWerner Rauh氏によって記載されました。
種小名の由来は、Tanjona Vohimenaのかつての地名であるCap Sainte Marie に由来するものです。

mamy_andriamahay licensed under CC-BY 4.0,via iNaturalist
自生地では、地を這うように枝をのばしている。

esrakotoarisoa licensed under CC-BY 4.0,via iNaturalist
自生地と現状
風が吹き荒ぶ、石灰岩の台地の極限られた範囲(0.877806 km²))に生息しています。
自生地が極めて限定的であることから絶滅の恐れが高いとされ、IUCN(国際自然保護連合)のRed ListではCR(Critically Endangered)に分類されています。CRは近絶滅種で、最も危機的状態にある種に与えられるカテゴリーです。CRの次のカテゴリーはEW(野生絶滅種)ですから、本種が如何に深刻な状態に置かれているかが分かります。
栽培について
野生下では絶滅の危機に瀕している希少種ですが、栽培には癖がなく、栽培下ではそれなりに繁殖もされています。流通の多い種ではありませんが、根気よく探せば見つかるはずです。
マダガスカルに自生する種の中では、比較的に耐寒性もあり、最低気温5度程度までは耐えてくれます。
耐暑性も高く、日本の盛夏も苦にしない強さがあります。
ただし、栽培下では枝が直立しやすく、自生地の這う様な株姿に近づけるためには工夫を必要とします。
深鉢で栽培すると、塊根は大きく(縦に)成長しますが、植物にストレスがかからないためか、枝は直立しやすくなります。
また、通風を心がけ、空気を停滞させないことはもちろんのこと、風を植物体に直接当て(当て続けないように首振り等を使用してください)、植物にストレスを与えることも大切なように思います。

7−8年生苗

7−8年生苗 こちらの苗は自生地ほどではないが、地を這うように枝をのばしている
花付きの良い種で繁殖も容易です。
花は灰緑色からオリーブグリーンで、デカリー(ボイテアウイ)やシリンドリフォリアの様に俯かず直立することも本種の特徴です。
年数を経た枝は摩耗し、白く滑らかになります。
葉は縁がウェーブし、観賞価値が高いものです。日照条件により、緑〜紫がかったオリーブグリーンまで変化がみられます。日照条件が悪いと緑色で葉の縁のウェーブが弱くなるため、栽培環境の目安になります。

花は俯かない。オリーブグリーンの綺麗な花

枝は年数と共に摩耗し、白く滑らかになっていく
実生も容易で、成長が早い種ではありませんが、5年程度で見れるような姿までもっていくことが可能です。播種から半年以内で開花させることも可能ですが、本格的に種子を採取出来るサイズまでには2-3年要します。
自生地に思いを馳せ、栽培するのが楽しい種です。
もし見かける機会があれば、是非、手にとって栽培してみて下さい。
参考文献
IUCN. 2023. “Euphorbia cap-saintemariensis.” The IUCN Red List of Threatened Species. Accessed April 3, 2025. https://www.iucnredlist.org/species/44315/10889657.
コメント