Euphorbia cuneata var. pumilans S.Carter
原産地:ケニア、タンザニア

Euphobia cuneata は広範囲に自生しており、その形態も多様性に富んだ種です。今回はその中の変種pumilans を中心としつつ、基亜種やその他の亜種についても紹介していきたいと思います。
Euph. cuneata は木本性で枝分かれが多い低木で、その高さは4mに達することもあります。樹皮は紙の様に剥がれるのも本種の美しい特徴のひとつです。
本種はForsskalのアラビアコレクション中の標本に基づいて、1791年にVahlによって記載されました。
※Forsskalのアラビア探検については別の記事で言及しています。
1911年、N.E.Brown は「Flora of Tropical Africa」におけるユーフォルビア属の記述の中で、北部型の変異の大きさを認識し、これら全てをEuph.cuneata の異名として統合しています。ただし、南部のEuph.spinescens およびEuph.lyciopsis に関しては独立種として扱い続けました(両種とも、現在は亜種のspinescens となっています)。
より多くの地域から標本が得られるようになった現在では、全体像を把握することが可能となっており、Euph.cuneata が多様性に富んだ種であることが分かっています。
各亜種・変種の特徴と分布
特徴 | 分布 | |
subsp. cuneata | 樹高最大4m。葉は長さ最大4.5cmで楔形〜ヘラ形。花序は4〜5個のサイアチウムからなり、サイアチウムの直径は5mm以上。 | ベナン、チャド、ジブチ、エジプト、エリトリア、ギニア、ケニア、モザンビーク、ナイジェリア、オマーン、サウジアラビア、ソマリア、スーダン、南スーダン、タンザニア、トーゴ、イエメン |
subsp. wajirensis | 樹高最大2m。花序は最大30個までの密集したサイアチウムからなり、サイアチウムの直径は3mm程度。 | ケニア北東部ワジール周辺 |
subsp. lamproderma | 樹高最大3m。幹の樹皮は黄色、枝の樹皮は光沢があり紫がかっている。樹皮は剥がれやすい。腺体は管状で、成熟時にはしばしば外側に反り返る。花柱は長さ3mmで下部2/3程度まで合着している。 | ケニアのトゥルカナ州および、北東部高地 |
subsp. spinescens | 樹高最大2mまで。樹皮は淡い灰色〜灰褐色で光沢はない。枝先に刺を持つ。成熟葉の長さは最大2.5cm。サイアチウムは単独、または時に両側に2つの側生サイアチウムを伴う。 | タンザニア北東部、ケニア南東部 |
subsp. cretacea | 樹高1mまで。 | ソマリアのヌガール地域 |
var. pumilans | 樹高は最大1m。樹皮は淡い灰色〜灰褐色で光沢はない。枝は水平に広がり、枝先に刺をつける。成熟葉の長さは1.5〜2.0cm。サイアチウムは常に単独。 | タンザニア北部モシ〜アルーシャ地域の高地、ケニア南東部ツァボ近郊 |
Euphorbia cuneata var. pumilans
樹高1mまでと亜種、変種の中で最も小型です。
枝に刺をつけるとされていることも本種の特徴です。亜種のspinescens との違いは樹高と葉の長さ、サイアチウムに違いがあることが同定の手助けになります。

葉の形状も様々。長さは1.5-2.0cmまで

幹の光沢はない。明るい色の幹肌

枝は刺のような形態となる。本種の特徴のひとつ

灰褐色の幹。光沢はない。

サイアチウムは常に単独、pumilansの特徴のひとつ

細かい毛に覆われている。上1/3は赤紫色。

実生苗(播種から7〜8ヶ月程度)
参考文献
Susan Carter.(1980).Euphorbia cuneata in East and Northeast Tropical Africa.
Royal Botanic Gardens, Kew. (n.d.). Euphorbia cuneata var. pumilans S.Carter Plants of the World Online. Retrieved May,14, 2025, from https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:880545-1
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